○乙訓消防組合危険物流出等の事故調査規程
平成27年4月1日
消防本部訓令第6号
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第16条の3の2並びに乙訓消防組合危険物規制規則(平成13年乙訓消防組合規則第40号。以下「危組合規則」という。)第18条の2及び乙訓消防組合危険物事務処理規程(平成14年乙訓消防組合消防本部訓令第3号)第18条の規定に基づき、製造所、貯蔵所又は取扱所(以下「製造所等」という。)において発生した危険物の流出その他の事故であって、火災が発生するおそれのあったもの(以下「危険物流出等の事故」という。)の原因の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(目的)
第2条 調査は、危険物流出等の事故の原因を明らかにし、その調査結果を日常の指導及び立入検査に反映させることにより、類似事故の再発を防止し、もって火災予防の充実を図ることを目的とする。
(1) 関係のある場所とは、製造所等以外の施設で起こった事故において、危険物流出等の事故の原因となった場所及び危険物が製造所等の外に流出した場所をいう。
(2) 関係者等とは、当該事故が発生した製造所等又は関係のある場所の所有者、管理者又は占有者をいう。
(3) 調査員とは、次に掲げる者をいう。
ア 本部調査員とは、消防長が、所属職員のうちから指定した調査に従事する者をいう。
イ 署調査員とは、事故が発生した製造所等を管轄する署長(以下「署長」という。)が、所属職員のうちから指定した調査に従事する者をいう。
(調査の主体)
第4条 調査の主体は、署長とする。
2 消防長は、署長に対し、調査の遂行上必要な指示を与えるものとする。
3 消防長は、事故の規模又は社会的影響等から判断して、必要と認められる場合は、調査の主体となる。
(調査員の指名及び区分)
第5条 署長は、署調査員を指定し、その管轄区域内の調査に従事させるものとする。
2 消防長は、必要があるときは消防本部予防課の職員のうちから本部調査員を指定し、乙訓消防組合管内全域の調査に従事させるものとし、さらに必要があるときは前項の調査員以外の職員を調査に従事させることができる。
(調査の責任)
第6条 危険物流出等の事故が発生した管轄区域内の調査責任者は署長とする。
(調査本部の設置)
第7条 消防長は、危険物流出等の事故が発生した場合において、必要があると認めるときは、調査本部を設置することができる。
2 前項の編成については、必要に応じて学識経験者、危険物保安技術協会の協力を求めることができる。
3 消防長は、調査が完了したときは、調査本部を解散する。ただし、調査の進ちょく状況によっては、調査完了前であってもこれを解散することができる。
(調査の基本)
第8条 調査は、常に事実の究明を主眼とし、先入観にとらわれることなく、科学的な方法と合理的な判断とによって事実の立証に努めなければならない。
2 調査は、危険物流出等の事故となった原因を調査するほか、発生に至った経緯、発生前、発生時の作業状況、事故の模様、関係者等の講じた措置、被害状況等を明らかにするものとする。
3 調査は、物的調査と人的調査を相関的に併せて行わなければならない。
(調査員の心得)
第9条 調査員は、常に関係法令等調査に必要な知識及び技術の修得に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互に連絡協調して原因の探究を行うこと。
(2) 警察機関その他の機関と緊密な連携を保持して調査に当たること。
(3) 適正公平を旨とし、強制的手段を避け、穏健妥当な方法により、関係者等の協力を得るように留意すること。
(4) 調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らさないこと。
(5) 調査に際し関係者等の民事的紛争に関与しないよう努めること。
(6) 調査の経過その他参考となるべき事項を記録し、これを保存すること。
(事故の区分)
第10条 事故は、次の各号に区分し、それぞれに必要な調査項目、調査方法、作成書類については、別に定める。
(2) 詳細な調査が必要な事故 次に定める危険物流出等の事故
ア 製造所等(製造所及び一般取扱所を除く。)から危険物が10キロリットル以上流出した事故
イ 製造所又は一般取扱所から危険物が指定数量の10倍以上流出した事故
ウ 地下に埋設されたタンク又は配管から危険物が指定数量以上流出し、又は敷地外に流出した事故
エ 危険物の流出に起因し、死者が発生した事故
オ その他、消防長又は署長が類似事故の防止又は予防対策の必要性等の観点から、詳細な事故原因調査を行うことが必要と認めた事故
(3) 消防庁長官に調査を求める事故
ア 容量500キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所から危険物が100キロリットル以上流出した事故
イ 容量500キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所以外の危険物施設から危険物が50キロリットル以上流出した事故
ウ 製造所又は一般取扱所から危険物が指定数量の10倍以上流出した事故で事故原因の特定が困難なもの
エ 地震その他の特異な状況により、容量500キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所の基礎・地盤、タンク本体(屋根、浮き屋根又はインナーフロートタンクの浮き蓋を含む。)が座屈、沈下、傾斜などの異常な状態となった事故
(消防庁長官調査の要請)
第11条 消防長が消防庁長官調査を要請する場合には、危険物流出等の事故の調査マニュアルについて(「平成20年消防危第317号消防庁危険物保安室長通知」以下「事故調査マニュアル」という。)の連携要領により関係機関との調整を行い、調査体制を速やかに構築しなければならない。
(消防隊員の見分)
第12条 消防隊の現場責任者及び隊員(以下「消防隊員」という。)は、現場到着時の危険物流出等の事故の状況、関係者等の言動等を見分し、調査員に対しこれらの状況を説明し、又は調査資料を提供しなければならない。
2 消防隊員は、危険物流出等の発生箇所と推定される箇所及びその付近の消防活動にあたっては、細心の注意を払い、現場保存に努めなければならない。
(危険物流出等の事故発生前の状況把握)
第13条 調査員は、関係者等に説明を求め、努めて危険物流出等の事故発生前の状況を明らかにしなければならない。
(実況見分)
第14条 調査員は、危険物流出等の事故現場を見分し、事故原因の判定に必要な調査資料の収集に努めなければならない。この場合、原則として関係者等の立会いのもとに行う。
2 事故状況の見分は、その内容を明確にするため、写真及び図面により記録し、危険物流出等の事故に関する見分調書(様式第1号)にそのてん末を記載しておくものとする。
3 少年法(昭和23年法律第168号)第2条第1項に定める少年、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に定める身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者(以下「少年等」という。)は実況見分の立会人としてはならない。ただし、心情及びその他諸般の事情により支障がないと認められるときは、この限りではない。
(現場における速報)
第15条 調査員は、消防長に対し、危険物流出等の事故の現場において見分した結果を、直ちに報告しなければならない。
2 調査員は、現場において、調査結果、推定原因等を他に漏らしてはならない。
(立入検査)
第16条 調査員は、その職務を行うに当たり、危険物流出等の事故の現場及び関係のある場所に立ち入って、その状況を検査しなければならない。
2 前項の規定による立入検査に際しては、消防法第4条第1項ただし書及び第2項から第4項までの規定を守らなければならない。
3 調査員は、消防法第4条第1項の規定による立入検査に際し、関係者の承諾及び立会いを得て行うものとする。
(資料提出)
第17条 調査員は、調査に関し必要な物件その他の資料について、関係者から提出を求めるものとする。
3 調査が完了した時、若しくは資料提出者から資料の返却を求められたときは、受領書と引換えに返還するものとする。この場合においては、保管品台帳に還付を受け受領した旨を記入させるものとする。
4 資料提出者が、資料の所有権を放棄したときは、調査終了後、適宜処分するものとする。
(質問の原則)
第20条 調査員及び消防隊員は、原因究明のために関係者等に対して質問を行うときは次の事項を遵守しなければならない。
(1) 質問を行う時期、場所等に配慮し、被質問者の任意の供述を得るよう努めること。
(2) みだりに供述を誘導しないこと。
(3) 伝聞によらない直接経験した事実の供述を得るように努めること。
(少年等に関する質問等)
第21条 調査員及び消防隊員は、少年等の関係する危険物流出等の事故で、前条に定める質問を行う場合は、立会人を置いて行うものとする。ただし、立会人を置くことで、真実の供述を得られないと判断されるときは、この限りでない。
2 調査員及び消防隊員は、前項の質問を行うにあたっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもってあたらなければならない。
(通訳人の介助)
第22条 調査員は、通訳人の介助を得て質問を行った場合は、通訳人の介助を得て被質問者に閲覧又は読み聞かせ、第20条第2項に規定する署名のほか、通訳人の署名を求めておかなければならない。ただし、これを拒んだ場合は、この限りでない。
(鑑定)
第23条 危険物流出等の事故の調査に必要があるときは、鑑識・鑑定依頼書(様式第9号)により公的機関等に鑑識、鑑定を依頼するものとする。
(原因の判定)
第24条 危険物流出等の事故原因の判定は、事故の実況見分、質問、その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとする。
(照会への対応)
第25条 署長は、官公署又は弁護士会から調査事項について照会を受けたときは、主管課と協議し、回答するものとする。
2 署長は、前項の規定により回答した結果を照会書の写し及び回答事項を添付して消防長に報告しなければならない。
3 署長は、乙訓消防組合情報公開条例(平成13年乙訓消防組合条例第7号)に基づき、調査書類についての公開請求がなされたときは、主管課と協議し、対応するものとする。
(証人、参考人としての出頭等)
第26条 調査員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼び出し若しくは召喚を受けた場合は、消防長にその概要を報告しなければならない。
2 前項により出頭した結果についても同様とする。
(1) 危険物流出等の事故に関する見分調書
(2) 危険物流出等の事故に関する質問調書
(3) 危険物流出等の事故に関する資料提出命令書
(4) 危険物流出等の事故に関する報告徴収書
(5) 危険物流出等の事故に関する資料提出報告書
(6) 保管票の写し
(7) その他必要な書類
(報告)
第28条 署調査員は、前条の報告書類を署長に報告しなければならない。
2 署長は、その結果を原則として危険物流出等の事故の覚知日から30日以内に消防長に報告しなければならない。
3 消防長は、調査を実施した結果については、消防庁への報告を行い、併せて関係法令に基づく各関係機関への報告を実施するものとする。
4 消防長は、危険物流出等の事故に係る移動タンク貯蔵所が他の行政庁の許可施設である場合は、その調査結果について移動タンク貯蔵所事故調査通知書(様式第13号)により当該行政庁に通知するものとする。
(書類の保存)
第29条 調査書は、乙訓消防組合文書取扱規程に基づき取り扱い、永年保存するものとする。
(関係機関への通報)
第30条 消防長又は署長は、危険物流出等の事故について犯罪の疑いがあると認めるときは、直ちに危険物流出等の事故の発生地を管轄する警察署長に通報しなければならない。
2 消防長又は署長は、河川への危険物流出等の事故があった場合は、当該河川を管轄する機関に通報しなければならない。
3 消防長又は署長は、前2項に定めるもののほか、防災担当及び環境担当など必要な機関へ通報するものとする。
(その他)
第31条 この規程に定めるもののほか、調査の実施に関し必要な事項については、別に定める。
附則
この訓令は、平成27年4月1日から施行する。
附則(平成28年3月29日消防本部訓令第1号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
様式第1号(第14条関係)
様式第2号(第17条関係)
様式第3号(第18条関係)
様式第4号(第18条関係)
様式第5号(第18条関係)
様式第6号(第18条関係)
様式第7号(第19条関係)
様式第8号(第20条関係)
様式第9号(第23条関係)
様式第10号(第27条関係)
様式第11号(第27条関係)
様式第12号(第27条関係)
様式第13号(第28条関係)